桑の実が教えてくれる自分の視界。
今年は、桑の実がたくさん実っています。
これでもか、というくらいたわわに実っています。
自然は惜しみなく与えようとしてくれている、
と感謝の気持ちが湧き上がります。
こどもたちには背の届かない桑の実。
「お母さん、とって~!」と言われるので、
上を向いて、熟して紫になっている桑の実を探します。
真剣に探します。(笑)
ある方向から桑の実を探し、熟した実をある程度摘むと、
その視界から紫の実は姿を消します。
あ、もう熟した実はないな、と思うのです。
しかし、
ちょっとだけ、自分の立ってる場所や観る角度を変えると・・・・
そこには紫に熟した実がキラキラと輝き、
緑の葉の間から顔をだしているのです。
そこには、さっき観た「熟した実がない景色」とは、
全く別の景色が広がっているのです。
自分が日常「観ている」「見ている」と思ってる範囲というのは、
こんなにも限られていて、狭いものなのだ、と実感するのです。
観る角度、考える角度を少しだけ、ほんの少しだけずらしてみる。
そこには思いもしなかった景色が広がっていたりするのです。
なんて面白いのだろう!
そう思いながら
私は、桑の実を摘むとき
自分の位置を変えながら、
見上げる角度を変えながら、
桑の葉の隙間から溢れる陽の光の美しさに
桑の葉の緑の美しさに
世界の広さを感じるのです。
桑の実に手を赤く染め、
口の周りをくわんくわんにした
こどもたちの満足そうな笑顔に
未来への希望の灯を絶やさずいたいと思うのです。