けいこさんのブログ

ときどき、料理教室。ときどき、お菓子屋さん。ときどき、ハンドケアと食養指導士。まいにち、わたし。

ちいさなおはなし。「えりまきとかげのえりまきや」

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あるところに えりまきとかげがいました。

えりまきとかげは えりまきやさんでした。

いろんないろのえりまき、ふわふわのえりまき、

さっぱりとした なににでもあうえりまき、

みんな じぶんにあう えりまきをえらんでは

うれしそうに かえっていきます。

 

きょうも えりまきやさんに おきゃくさんがきました。

おおきな ぴんくいろの カバでした。

かばは おみせのなかを きょろきょろみまわすと

ちいさな ためいきをつきました。

 

えりまきとかげは カバにききました。

 

「どんな えりまきをおさがしですか?」

 

カバは、えりまきとかげを、よこめでちらりとみると

 

また ちいさな ためいきをつきました。

 

そして、かるくいきをすいこむと、いいました。

 

「わたしが さがしているものは このおみせにはないようです。」

 

「えりまきなら なんでもそろっていますよ。 

もしきにいらないのであれば、おつくりしましょう。」

 

カバは、また ちいさなためいきを つきました。

 

「わたしが ほしいのは えりまきではないんです。」

 

「え?!ここは えりまきやです。あなたがほしいのは、

えりまきではないんですか?」

 

「わたしは、 みずのなかにいつもつかっています。」

 

えりまきとかげは カバが みずにつかっているところを

おもいうかべました。

 

どっぷりして、どうどうとして、いいかんじだな。

 

と おもいました。

 

「ゆうゆうとして すてきですね。」

えりまきとかげがそういうと、

かばは、

「それはありがとう。・・・でもね・・・」

 

「でもね?」

 

「おなかがひえるんです。」

 

カバは、 おなかがひえて こまっていたのです。

 

「そうですか、そうですか。それなら、いいおみせを ごしょうかいしましょう。」

 

カバが えりまきとかげに しょうかいされて むかったおみせには、

こんな かんばんが かかっていました。

 

 おすきないろで

おすきなおおきさ 

いつでもあったか 

けんこうのきほんは おなかから 

はらまきとかげのはらまきや

 

 

カバは ぴんくのおおきなからだに そらいろのはらまきをして

おみせからでてきました。

 

かるいあしどりで あるいてかえる うしろすがたは

そのまま そらにうかんでしまいそうでした。

 

おしまい。