「子どもの心の育てかた」 佐々木正美
児童精神科医・佐々木正美さんの本です。
育児書を読むことは殆どないのですが、
まえがきを読んで、胸が詰まる想いとともに、
あたたかくなり、この本を購入しました。
子どもは大人、または社会をそのまま映し出している鏡です。
今を生きる子どもたちは、制限ばかり加えられて、自由な気持ちの発散がないように見えることがあります。誰も子どもの言い分などに、心から耳を傾ける人が居なくなる時代が、もうすぐ目の前にやってきてしまうように感じることがあります。
しかし、子ども、家庭、育児、保育をめぐる環境は、時代とともに随分変化はしていても、私が児童精神科医としての人生を始めた日から、現在まで変わらない真実があります。
子どもの成長や発達について考える中核的なこととなると、
「そこのとは、時代が変わっても、決して変わるものではない」と考えている大切なことです。
お母さん、お父さん。
どうぞ、子どもを甘やかすことを決して恐れず厭わず 、
一生懸命可愛がって育ててあげてください。いい子にしている
ときにかわいがるのではなく、どんな時も愛してあげてください。
子どもは愛されることで、いい子になるのです。
佐々木先生の言う「いい子」とは、大人の言うことを聴く、
大人にとっての「都合のいい子」でないことは、明らかです。
本文も、とても読みやすく、ゆるやかにおだやかに、心に入ります。
おわりのことばも、本当に素敵です。
おわりに
子どもを産み、育てるという行為ほど、人間的で創造的な
活動を私はほかにまったく知りません。
児童精神科医としての長い歳月は、私をとても幸福にしてくれました。子どもたちの心と体に寄り添い、成長を見送る日々は、私にいつも素晴らしいことを教えてくれました。
私に多くを教えてくれた多くの子どもたちに、心から感謝します。
子どもの言うことを、じゅうぶんに聞いてください。
子どもののぞむことを、惜しみなく与えてください。
それだけで、子どもの心は 育ちます。
子どもたちの心を、豊かに、大きく、あたたかく育てていくことが、子どもたちの未来を育てることになるのです。
子どもたちをやさしく、大切に育てることを、
どうかわすれないでください。
子どもたちは、そこに居るだけで、素晴らしい存在です。
子どもたちは、大人に属しているのではないと思います。
だからこそ、
「大人の言うことを聴く子ども」
「大人にとっての【都合の良い子】」
にしてしまうことのないように、
日々自分を見つめたいと思います。
子どもたちは理屈ではなく、世界の光そのものです。