「あたりまえではないこと」の積み重ねの中で育つことの有り難さ。①
幼稚園の家族キャンプが終わりました。
毎年、この時期に行われる家族キャンプには、卒園した家族も訪れ、中学生・高校生の姿も見かけます。
今年は、私が妊娠中、りららは幼稚園に泊まらず、家に帰りたいといいます。
夫は仕事、と、テントを建てて泊まる調整がつきそうにありません。
キャンプを楽しみにしているきりんに、事情を話し、
「今年はテントを建てて泊まるのは難しい」と話をしました。
初めは、ポロポロ泣いていたのですが、自分の中で折り合いを付けてくれて、
「出来るだけ早くいって、出来るだけ遅くまでいたい。泊まれないのはわかった。」
と納得してくれました。
早朝の清々しい空気の静かな時間に虫採りをするのを毎年楽しみにしている彼にとって、その折り合いをつけることも、きっと大変なことだったと思うですが、
今の我が家の状況を受け入れてくれたのでした。
そんな話を幼稚園のスタッフにしたところ、
「きりんだけ、寝袋で園舎の中に泊まればいいんじゃない?」
「いいよ~きりんだけ置いていって。」
と口々に言っていただいたのでした。
私と夫は、最後まで、
「キャンプ中は、人の出入りも多いし、いつもと違う雰囲気になるし、
きりんだけ泊まって何か迷惑をかけてしまったら、申し訳ないなぁ・・・。」
と最後までその言葉に甘えていいのだろうか、と悩んだのですが、
きりんが「一人でも泊まりたい」というので、スタッフや、泊まる予定のある
家族に気にかけてもらえたらありがたい、と、お願いすることにし、
我が家の家族キャンプがスタートしたのでした。
朝は仕事に行く前の夫が朝ごはんのお弁当を届け、
私が昼食と夕飯を準備して、早めにりららと幼稚園に行く。
そのように話し合いキャンプ中を過ごすことにしました。
園舎内のスタッフのいる2階の部屋に一番近い場所が空いていたので、
そこに荷物を置いて、寝るスペースを確保させてもらいました。
初日の夜は、仲良しの友達と寝袋を並べて泊まったようです。
二日目の朝、幼稚園に行ってきりんがいるはずのスペースを見上げてみると、
段ボールで入口が出来ていて、なにやら屋根もある!!!!
近くに行くと、なんと!
その屋根は、不要になった大きな封筒をスタッフに頂いて、
その封筒をすずらんテープに貼り付けて作られていました。(写真を撮り忘れました・・・(^_^;))
園舎内は狭くなってしまうので、簡易テントを張ることはできないので、
自分でスペースを「囲う」工夫をしたようです。
さらに、木の枝を外から見つけてきて、それを帽子の掛けるフックにしていました。
「自分の基地」として、居心地よく工夫したのでしょう。
上からビニール袋を吊るして、夜はその中に懐中電灯を入れると電気みたいになるんだよ、と、説明してくれました。
面白いなぁ。
スタッフや他のお母さん、お父さんが「基地に入れてもらったよ~!」
と嬉しそうに話してくれるのも、ありがたく嬉しいことでした。
きりんのやっていることに寄り添って、面白がってくれる。
二日目の夜、仲良しの友達は皆、帰宅してしまっていたのですが、
「泊まる」という意志は固く。
夜11時近くまで夫が居てくれたのですが、半分帰りたい気持ちもあったのか、
「帰ってもいいし、泊まってもいいよ。どうする?」と聞くと、
涙ぐみながら、「泊まる」と決断したそうです。
「早朝から、好きな虫採りを存分にできる」という特別な時間を、
彼は選んだのでした。
その話を聞いて、「夜中に泣いたりするかもな~」と思った私の予感は的中し、
夢をみたのか、泣いたらしいのですが、泊まっていた他のお母さんがトントンと
してくれたそうで、直ぐに寝てしまったそうです。
こんな風に皆さんに見守って頂いていること、本当にあたりまえではないな、
ありがたいなぁ・・・としみじみ思いました。
そしてそのお母さんの話によると、寝ている時も、虫籠を肩から下げた
ままだったそうです。(笑)どんだけ!(笑)
最終日の夜も、やはり泊まるという意志はゆるがず、楽しそうに過ごしていました。
最終日は昼間に子どものスポーツ大会、夜に大人のスポーツ大会があり、
バレーボールが行われます。
その大人のスポーツ大会の最中に、試合を中断してスタッフYさんが、こうアナウンスしてくれたそうです。
「きりん、ヘビトンボがいるよ~!」
バレーボールネットに泊まっていたヘビトンボを見つけて、虫好きのきりんにアナウンスしてくれたというのです。
そして、きりんが、虫採り網に虫籠を携えたお決まりのスタイルで現れるまで、
みんながヘビトンボに触ることなく、待っていてくれたそうです。
試合の途中なのに。
あぁ・・・こんな幼稚園、他にないよなぁ。と話を聞いて、ジーンと
しました。
小さい頃から、こんな風に「好きなこと」「やりたいこと」を
多くの方々に見守って頂き、尊重してもらい育っていること。
私が朝、幼稚園に行くと、多くのお母さん方が、きりんの様子を話して
くれます。家族の居ない所での彼の姿をその話しから思い描きます。
家族以外のまなざしから、私もまた、私のイメージしている以外のきりんを知ることになります。
そこで、自分の見方が、いかに狭く偏った物になりがちであるか、という事に気づくのです。
家族キャンプに子ども一人でも泊まっていいよ、と受け入れてくれること。
スタッフや、多くのお母さん、お父さん、に見守ってもらえること。
こうして育っていけることは、決して「あたりまえ」ではない。
この様な、あたたかな「まなざし」の溢れる環境が、「あたりまえ」の
地域社会になったらいいのに。
そして、「ありがたい」とは「有難い」ことで、
「決してあたりまえではないことを、していただいている。」
と感じ、大きな感謝に包まれます。
ありがとうございます。
↑幼稚園に入園した頃のきりん。ちっちゃっ。(笑)